クリスマスの魔法の謎

クリスマスの魔法の謎

クリスマスの魔法の謎

サラは、フィンランドの北極圏にあるサンタクロース中央郵便局にたった今入ったところです。 そして、ひょんなことから探偵になりました。

サラは、サンタクロース中央郵便局に、謎を解くためにやって来たのです。 クリスマスの魔法と、その魔法がどうやってサンタクロースの手紙に入って世界中に広がっているのか。

サラはいくら考えても謎を解くことが出来ないようです。また、ペンの先を噛み始めました。「魔法はどこから来たのかな・・・?」この郵便局に何か秘密があるのかな?」彼女は自問自答しています。探偵ノートを取り出して、何やら書き始めました。

Detective Diary

なんてこと!!! 小さな妖精が姿を表したのは、これが初めてです。
その妖精は赤いズボン、赤いシャツ、赤い靴、そして赤い帽子を身につけています。
その帽子はフェルトで出来ているに違いありません・・・
でも、なぜ赤ばかりなのでしょう?
赤は魔法の色なのでしょうか?

サラは鼻筋にしわを寄せましたが、探偵ノートには赤色が嫌いということは書かないことにしました。

Detective Diary

大勢の人。一人、二人、三人、六人、十一人・・・
大勢の大人と子供、そして小さな妖精たち。
もちろん、私の両親も普通の親のようにちゃんとドレスアップしていることも大事なこと。探偵は目立たないようにしなくては。
サンタクロースはどこ?

サラにはサンタクロースがどこにいるのか分かりませんでしたが、他にいろいろなものを見つけました。赤い服や帽子を見に付けた小さな妖精たちが忙しそうに歩き回り、やってくる人たちに挨拶しています。子どもを2人連れた家族が葉書を裏返しています。

壁には巨大な世界地図があります。 地図には、サンタクロース郵便局の来訪者がどこから来たのかを示すピンが刺してます。ものすごい数です! 世界じゅう、ありとあらゆるところから!

外では雪が地面に降り積もり、 空にはオーロラが光を放ちながら揺れています。 オーロラは空のかなたに仄かに見えるだけすが、ランタンや柔かな光が世界を魔法のように照らしています。

Detective Diary

雪は冷たく、白くて、ふわふわしています。

サラがサンタクロース中央郵便局の窓の外に目をやると、 2頭のトナカイが雪の中に立っていました。 ちょっと眠そうです。 「あのトナカイたちは、特別な、空を飛ぶ郵便配達トナカイじゃないかしら?」 サラは思いました。

でも、サラはここ、サンタクロース中央郵便局にもっと大きな謎を解くためにやって来たのです。 クリスマスの魔法と、その魔法がどうやってサンタクロースの手紙に入って世界中に広がっているのか。

すべては4日前、サラが1通の手紙を受け取ったときに始まりました。

サラは以前にも手紙を受け取っていましたが、今回は特別だったのです。4日前、夕食の直前に彼女の両親が1枚の封筒をサラに手渡しました。その封筒には、ソリに乗って空を翔けるサンタクロースの絵が描かれていたのです。

封筒を開けたサラは、なんとそれがサンタクロース本人からの手紙であることを知りました。もっとも、彼女の親はバカバカしいと笑うだけでしたが。

Detective Diary

これは、本当に起きたことなのです。両親はお互いに顔を見合わせてウィンクし、 笑顔で踊りだしました。これが「クリスマスの魔法」なのね、と。

親は、クリスマスの魔法は手紙の中にあると言うけれど、 どうやってクリスマスが手紙の中に入るのかしら? それこそ、魔法に違いない。 魔法って一体何?

それに、サンタはどうやって私に手紙を送ってきたのかしら? サンタは魔法を作り出せるとでも言うのかな? 手紙は一体どこから来たの?

これは調べてみる必要がありそうだわ。 私には、知る権利がある。 子どもたちには、知る権利があるのよ。

封筒の裏には住所が書いてありました。
Official Santa Mail
サンタクロース中央郵便局
FI 96930 Arctic Circle Finland (なんと、フィンランドの北極圏から投函されています!)

5分もの長い間、サラはペンの先を噛み続けました。

それからサラは両親のところへ行き、「私は探偵としてサンタクロース中央郵便局に行かなくてはならないわ」と言いました。彼女の両親は顔を見合わせました。なぜなら、彼らはすでに北極圏に旅行する計画を立てていたからです。

そして今、4日後、サラと両親はここ、サンタクロース中央郵便局にやって来ました。サラは郵便局と人々を観察できる絶好の場所を見つけました。

Detective Diary

ここは暖かくて幸せで、赤い。
郵便カウンターは木で出来ている。
すごい数のクリスマスカードがあって人々が木のテーブルに集まって、手紙に何か書いている。
魔法はここから来ているのかな?

突然、ドシン!と何かがぶつかる音が聞こえました。音は床の下から聞こえてきたようです。「なにか臭うな」、とサラは思い、郵便局の木で出来た床に耳をつけました。

今度は、はっきり聞こえました。

Detective Diary

誰かが大きな台を押しているような音。
タイヤが軋む音がして、止まった。誰かが何か小さなものを運んでいる。
手紙かな?
あっ! 誰かが手紙のことを話しているのが聞こえる・・・

「えっへん」と誰かが咳払いして、赤い靴がサラの顔の横に現れました。 「あのー、もしかすると、あなたは探偵?」

サラは体をこわばらせました。 彼女の片方の耳はまだ床に付いているのに、あの赤い靴はそこにいるように思えたからです。 これは妖精に違いない! サラは急いで頭を巡らせ、 「小さな妖精が話しかけてきた。 これって、すごい! 嘘みたい!!!! でも、ちょっと待てよ。 あの妖精は何で私が探偵だって分かったんだろう?」

赤い靴は、まだそこにいます。サラは床に片方の耳をつけたまま耳を澄ませました。

「私たち妖精も、探偵みたいなものなのよ。 私はエリって言うの。 郵便配達妖精よ。探偵仲間に出会えて嬉しいわ」と、郵便配達妖精のエリは言い、

エリがサラに後に付いて来てというように手招きしたとき、サラはどうやって答えるべきか迷いました。妖精と会ったことを認めるか、気のせいにするべきか?サラはゆっくりと立ち上がり、探偵ノートを後ろに隠しました。

ペンの先をちょっと噛み、両親に目をやると、両親は小さなトナカイと戯れていました。「・きっと、大丈夫に違いないわ。」とサラは自分に言い聞かせ、「探偵なんだもの、冒険が怖いなんて言えないし、それに自分たちが何者かなんてことで恐れるわけないわ。」そして、サラはエリに付いていきました。

エリは木のドアの前で立ち止まり、

「このドアの向こうに、小包配送センターがあるって知ってた?」 ここに地下に繋がる道があって、廊下やそれはそれはたくさんの部屋があるの。」郵便配達妖精のエリは、ドアのところで頷きました。

「フィンランドにあるサンタクロース中央郵便局の手紙や小包は、みなここを通るのよ。」

サラは目を細めます。

「分かった! ここに魔法があるのね?」 サラはドアを指さしました。 それは大きなドアで、こう書いてありました

小包配送センター」

まぁ、・・・私ったら、まだ自己紹介もしてないわ」 「ごめんなさい。 そうなの、私は探偵よ。 名前はサラ。ここに謎解きに来たのよ。 クリスマスの魔法がどこから来るのか、どのように手紙の中に入って世界中に広がるか。」

エリは目を輝かせました。 「クリスマスの魔法はどうやって広まったの?」えーっと・・・」

エリの赤い帽子は耳のところまでずり落ちています。 けっこうカワイイ帽子じゃない、とサラは思いました。嫌いなはずの、赤色なのに。 「サラ、私なら手伝ってあげられるわ。でも、その前に1つ確認しなきゃ。あなたは探偵として秘密を守れる?」

サラは頷きます。

「サンタクロース中央郵便局にいる妖精は、クリスマスの魔法を1通の手紙と小包を一緒に届けるお手伝いをしているのよ。だから、クリスマスの魔法については全部知っているわ。」

「これが、その魔法よ。」とエリは言い、「たぶん、世界で一番ちゃんと守られている秘密ね。」

「クリスマスの魔法はここから来ているのよ」あのドアの向こう側に。この床の下に。正式な郵便配達妖精だけがクリスマスの魔法を配達できるの。だから、残念だけど、郵便配達妖精じゃないあなたに、これ以上あまり教えてあげることはできない。それでもいい?」エリはサラに言いました。

でも・・・私がどうにかしてあのドアの向こう側に行くことができたら、あなたはこうしなくてはならないんじゃないかしら。」

サラは探偵ノートに指示を書きました。

Detective Diary

まず真っ直ぐ歩き、
階段を降りて
右へ曲がり
それから左へ
梯子を登って
左に2回曲がり右へ進んで
2番目の階段を選んで
3つめのドアの前に行き
それから梯子を降りる

「すると、そこには魔法が起こるすべての手紙と小包があって、そこは家族、愛、親友、与える喜びが満ちている場所・・・オーロラが輝き、ほんの少しの雪とサンタクロースの笑い声もね」、とエリはささやきました。

「でも、そこからは先は・・・秘密なんでしょ。」

エリが話している間に、サラは地図も描きました。

サラの地図にはサンタクロースがいて、雪が舞い、小さな妖精たちと地下の廊下と部屋が描かれています。その地図の真ん中には、サンタクロース中央郵便局のような建物も描かれていました。

「うーん・・・」彼女はそう言って、またペンの先を噛みました。サラは振り返って自分に手を振っている両親を見ました。サラは絵を見て、絵の中の手紙を見て、両親を見て、また絵を見ました。

彼女の目が輝きました!答えはそこにあったのです。絵の中に、自分の探偵ノートに描いてあったのです。クリスマスの魔法の地図が。

サラは自分が何をすべきか悟りました。

「サンタクロースが私に送ってきた手紙は、私の両親をすごく喜ばせたのね。」きっと、それは魔法がかかっていたからなんだわ。でも・・・うちの親には一通も来ていないけど。あの手紙は私宛てだったのよ」、とサラは小さな声で言いました。

彼女はしばらく黙っていましたが、 咳払いして、

それから、サラは聞きました「サンタクロースはうちの両親にも手紙を書いてくれるかしら?」

サンタクロース中央郵便局
クリスマスの魔法の謎